PUCCINI, La Bohème – Baden-Baden
バーデン=バーデン祝祭劇場でのプッチーニ『ラ・ボエーム』公演、テノール歌手の交代劇と公演の結末

バーデン=バーデン祝祭劇場での夏のオペラ公演に、大きな期待を寄せて観客が集まりました。出演はスーパースターのベンジャミン・ベルンハイムと、先月ヴェローナでミミ役を演じ絶賛されたカロリーナ・ロペス・モレノです。会場は満席でした。舞台美術家のファビオ・リッケンマンは、コンサート形式でありながら伝統的な演出に近いミニマルな空間を作り上げました。テーブル2つ、椅子、小道具のボトルやイーゼル、布などが配置され、最低限の動作で物語が進行します。マルチェッロ役が絵を描く仕草で登場し、物語が始まります。
ロドルフォが登場し、寒さに震える演技を見せますが、歌唱は控えめで、フレーズの終わりに咳き込む様子が見られました。本来咳をするのはミミであるはずのため、観客に不安がよぎります。ミミが登場しますが、役柄のイメージとは異なるタイトなイブニングドレス姿でした。ここで事態が急変します。ベンジャミン・ベルンハイムが歌唱を中断し、10分間の休憩を宣言しました。観客は困惑し、会場がざわつきます。その後、祝祭劇場の総裁ベネディクト・スタンパがマイクを持って登場し、ベルンハイムが歌唱不能であることを告げました。しかし、観客の中に代役を務められる人物がいることが判明しました。「テノール歌手がいる」という報告を受け、公演が再開されます。
指揮者のマルコ・アルミリアートは譜面台なしで指揮を執り、再開箇所を確認するのに時間を要しました。「私の名はミミ」から再開されたため、ロドルフォのアリア「冷たい手を」は省略されました。舞台上では、ベルンハイムが演技(口パク)を担当し、舞台袖でアンドリュー・オーウェンズが歌唱を担当するという異例の形式となりました。観客は誰を見るべきか戸惑う場面もありましたが、出演者のプロ意識により、結果として驚くほど正確で感情豊かな舞台となりました。終盤、ミミが椅子に横たわるシーンで椅子が不安定になるハプニングもありましたが、ベルンハイムが支えて事なきを得ました。最終的に、プッチーニの作品の持つ力と、カロリーナ・ロペス・モレノの素晴らしい歌唱により、観客は深い感動に包まれました。代役を務めたシンシナティ出身(現在はチューリッヒ在住)のアンドリュー・オーウェンズも、見事にこの窮地を救いました。


